ー新築建売 不動産屋のマメ知識ー
☑安心して長く住める家を建てたいが、どの
制度を利用すれば良いのか迷っている。
☑住宅を建てる際に住宅性能表示制度に
ついての知識を深めたい
☑住宅性能表示制度の概要や長期優良住宅
制度との違い、メリットデメリットを解説。
大学卒業後、大手ハウスメーカーに住宅営業として勤務後、2019年に明和住宅へ転職。
大手ハウスメーカーと地元工務店双方を経験しているため、両側の目線での住宅提案が可能。土地も扱う明和住宅において、セミオーダー形式による注文住宅のコストカット提案等、地元工務店ならではの柔軟性を活かした営業活動を行う。
皆さんこんにちは。
明和住宅スタッフ営業担当の坂本です。
住宅を購入・建築する際には、安心して長く暮らせる家を選びたいもの。しかし、住宅の性能は外観からは判断しにくいため、品質を客観的に評価する方法が必要です。
そこで役立つのが、耐震性や耐久性など住宅の重要な性能を数値や等級で評価した「住宅性能評価制度」です。この制度は第三者機関による証明であるため、住まいの信頼性の判断材料として活用できます。
本記事では、住宅性能評価の仕組みやメリット・デメリット、具体的な評価項目について詳しく解説します。
住宅性能表示制度は、住宅の品質を客観的に評価し、等級や数値で性能を表示する制度です。ここでは、その概要や長期優良住宅制度との違い、住宅性能評価書を取得する際の費用について解説します。
住宅性能表示制度とは、2000年施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、品確法)」に基づく制度です。住宅の品質を確保し、消費者に安心を提供するために設けられました。
品確法は、以下の3つの柱で構成されており、住宅性能表示制度はその一つです。
住宅性能表示制度では、マンションや一戸建て住宅などの建物の品質が、第三者の専門機関によって一定の基準で評価され、その結果が消費者に「等級」で示されます。
同制度の目的は、住宅の性能を比較しやすくし、第三者評価による信頼性を確保した上で、住宅性能の向上を図ることです。ただし、住宅性能表示制度は義務ではなく、住宅性能評価書の取得は任意となっています。
なお、住宅性能表示制度には「設計住宅性能評価」と「建設住宅性能評価」の2つの制度があり、設計段階で評価を受けるものと、完成段階の検査を経て評価を受けるものに分かれています。
住宅の品質を評価する制度として、住宅性能表示制度のほかに「長期優良住宅制度」があります。これらは、それぞれ異なる目的と基準を持つ制度です。
長期優良住宅は、劣化対策や耐震性、維持管理のしやすさなどの基準をクリアした住宅であり、長期間にわたって安心して住み続けられる質の高い住宅を普及させることを目的とした制度です。
この制度を利用することで、所得税や固定資産税、不動産取得税などの税金面での優遇措置を受けることが可能です。
一方、住宅性能表示制度は、住宅の性能を客観的に評価することを目的とした制度で、耐震性や省エネルギー性などの項目を評価し、その結果を記載した住宅性能評価書が交付されます。
この評価書によって住宅の品質が証明されるため、購入者や入居者にとっての安心材料とすることができます。
住宅性能評価書を取得するための費用は、申請する評価書の種類や評価内容によって異なります。設計住宅性能評価書や建設住宅性能評価書を取得する際には、申請手数料や図面作成料などの費用が発生します。
さらに、評価項目や求める等級に応じて追加工事が必要となる場合があります。例えば、断熱等級を高めるためにはより高性能な断熱材を使用する必要があり、その分の工事費用が別途発生するといったケースも想定されるでしょう。
費用は住宅の面積や評価機関、地域によっても異なるため、事前に見積もりを依頼して確認することが重要です。また、建築会社によって費用計算や手続きが異なる場合もあるため、費用に関してはその都度建築会社に確認しましょう。
住宅性能評価を受けることで、耐震性や耐久性、省エネ性といった目に見えない住宅の性能が等級や数値で表示され、誰でもわかりやすく比較できるようになります。
新築住宅の場合、住宅の性能が可視化されることで安心感を得られるでしょう。また、中古住宅では現況検査によって、劣化の程度や不具合を確認できるという利点があります。
さらに、住宅の売り手側によっても、性能が高い住宅はその優位性を購入者にアピールしやすくなるため、選ばれやすい物件として市場での競争力を高める効果が期待できます。
住宅性能評価書は、国土交通省に登録された第三者機関である「登録住宅性能評価機関」によって発行されるため、客観性と信頼性のある評価を得ることにつながります。
評価には、設計段階での「設計住宅性能評価書」と、施工後・完成後の現場検査を経た「建築住宅性能評価書」の2種類あり、いずれも法律に基づいた認証マークが付与される形です。
引用元:住宅性能表示制度の概要(国土交通省)
施工中に建築評価を受ける場合、設計が正しく反映されているか、また施工が設計通りに行われているかを、第三者機関が複数回にわたって現場検査を行い確認します。そのため、完成後に隠れてしまう箇所もチェックされるため安心です。
評価を受ける際は、基準となる評価項目や等級に基準が設けられているため、事前に建築会社や不動産会社と確認し、必要な要件を満たすかどうかを考慮することが重要です。
住宅性能評価を取得することで、住宅ローンや地震保険においてさまざまな優遇措置を受けられる点もメリットのひとつです。
特に、長期固定金利型の住宅ローン「フラット35S」を利用する場合、耐震性・省エネ性・バリアフリー性・耐久性のいずれかが規定の等級を満たしていれば、当初5年間、10年間、一定期間の金利が引き下げられます。
また、住宅性能評価書を取得していると、物件検査の一部を省略できるという利点もあります。さらに、耐震等級によっては地震保険料が10%から50%の割引を受けられるため、保険料を抑えることが可能です。
住宅性能評価を取得することで、住宅ローンや地震保険においてさまざまな優遇措置を受けられる点もメリットのひとつです。
特に、長期固定金利型の住宅ローン「フラット35S」を利用する場合、耐震性・省エネ性・バリアフリー性・耐久性のいずれかが規定の等級を満たしていれば、当初5年間、10年間、一定期間の金利が引き下げられます。
また、住宅性能評価書を取得していると、物件検査の一部を省略できるという利点もあります。さらに、耐震等級によっては地震保険料が10%から50%の割引を受けられるため、保険料を抑えることが可能です。
建設住宅性能評価書を取得した住宅では、建築会社や売主とのトラブルが発生した際に、指定住宅紛争処理機関(各地の弁護士会)に紛争処理を申請することが可能です。
この機関は、裁判を経ずに住宅に関する紛争を迅速かつ円滑に解決することを目的としており、評価書の内容だけでなく、請負契約や売買契約に関する当事者間のすべての紛争を対象としています。なお、紛争処理の申請料は「1件あたり1万円」と定められています。
住宅性能評価を受けることには多くのメリットがある一方で、デメリットといえる側面もありします。
ここでは、住宅性能評価を受ける際に考慮すべき主なデメリットについて解説します。
住宅性能評価で高い等級を目指すためには、通常の建築費用に加えて、性能の高い資材の使用が必要になるため、追加のコストが発生する場合があります。
耐震性や断熱性などすべての性能を高めると、その分建築コストが増加します。高性能な住宅を手に入れても、住宅ローンの返済が負担になると、理想の生活が実現できない可能性もあるため注意が必要です。予算と要望を十分に考慮し、性能とコストのバランスを検討しましょう。
住宅性能表示項目の中には、両立が難しい項目もあります。例えば、窓を広くすると地震などに対する強さの等級が下がるなど、相反する評価項目もあります。そのため、すべての評価項目で最高等級を目指す必要はないと考えた方が良いでしょう。
求める暮らし方や周辺環境に合わせて、必要な等級レベルを慎重に検討しながら計画することが重要です。
住宅性能表示制度には、住宅の品質を総合的に評価するためのさまざまな項目が設けられています。特に、新築住宅では必須となる評価項目が設定されており、既存住宅との違いについても理解しておく必要があります。
ここでは、住宅性能表示制度の必須項目と、新築住宅・既存の項目の違いについて詳しく解説します。
新築住宅の住宅性能表示制度の必須項目として、次の4つの分野が設定されています。
ここでは、住宅性能表示制度の4つの必須項目を見ていきましょう。
構造の安定に関する項目は、建物の基盤となる構造躯体(くたい)や、基礎・地盤に関する強度といった情報を開示する評価項目です。柱や梁、主要な壁、基礎など、構造的な要素が地震や強風、積雪などの自然災害にどれだけ耐えられるかを等級で示します。
※耐積雪等級は建築基準法の多雪区域内においてのみ表示
構造の安定を示す性能表示事項は上記であり、等級に応じて「損傷防止」「倒壊等防止」という2つの目標が達成できる構造躯体の強さについて評価・表示します。
構造躯体の倒壊等防止 |
数十年に一回は起こり得る大きさの力に対して、大規模な工事による修復が必要になるほどの損傷を生じないようにすること |
構造躯体の損傷防止 |
数百年に一回は起こり得る大きさの力に対して、損傷は受けても、人命が失われるような倒壊をしないようにすること |
等級が上がるほど、より大きな力に耐えることができる住宅であることをあらわします。耐震等級(構造躯体の損傷防止)は、1~3で評価され、等級1は建築基準法の基準と同レベルの耐震性、等級2は基準の1.25倍、等級3は1.5倍の強度を持つ建物を示します。
劣化の軽減(耐久性)は、住宅に使用される材料の劣化を遅らせるための対策を評価する項目です。等級が高いほど、より長い耐用期間を確保するために必要な対策が取られていることをあらわしています。
具体的には、使用されている材料の耐久性や、木造住宅では腐朽菌やシロアリに対する防止策の通気や換気性などが評価基準です。
等級1は建築基準法の基準を満たし、等級3では約70年から90年の耐久性を持つ程度の対策が行われており、より長期にわたり構造躯体が劣化しにくい住宅が評価されます。
維持管理・更新への配慮は、住宅の給排水管やガス管など、定期的なメンテナンスが必要な設備の点検や清掃、修繕のしやすさを評価する項目。例えば、床下点検口の有無や、配管がコンクリートに埋め込まれていないかといった点です。
等級2では、基本的な維持管理措置が講じられており、等級3では専用の設備点検や清掃が容易に行える設計となっていることを示しています(等級1はその他の措置)。これにより、住んでいる間に必要なメンテナンスがしやすい住宅かどうかが評価されます。
温熱環境は、住宅の断熱化や設備の効率化などによる省エネルギー対策の程度を評価する項目です。快適な温度管理ができる住宅であることが重要であり、夏の暑さや冬の寒さを快適にしのげる高い断熱性と省エネ性能が求められます。
温熱環境の評価は、「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」の2つの基準で行われ、断熱等性能等級は1から7、エネルギー消費量は1から6の等級で示される形です。省エネ対策が講じられている住宅は高い等級を取得でき、エネルギー効率が良い住宅として評価されます。
新築住宅と中古住宅では、住宅性能評価で評価される項目が異なります。住宅性能表示制度は、2000年に新築住宅を対象に導入され、2002年からは既存住宅にも適用されるようになりました。
既存住宅では、必須項目として「現況検査」が求められ、その他の検査である「特定現況検査」や「個別性能検査」はオプションとなります。現況検査を行うことで、劣化や不具合の状態を確認できるため、物件購入前に状態を把握し、リフォームや修繕の参考にできます。
住宅性能評価を受けるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、相談から評価書の受け取りまでの基本的な流れについて解説します。
設計評価は着工前に受ける必要があり、着工後では評価を受けられません。そのため、着工前に評価を依頼する機関を選び、相談を行う時間を確保することが重要です。
建設性能評価の現場検査は、家づくりの進行に応じて実施され、設計評価で承認された設計図面と実際の施工が一致しているかを確認します。指摘事項があれば、工事の是正が必要です。
戸建て住宅の場合、検査は基礎配筋工事完了時、躯体工事完了時、内装下地張り直前、竣工時の4段階で実施。これにより、完成後に隠れる基礎部分や壁の内部も確認できます。なお、住宅の規模によっては検査回数が増える場合もあります。
現場検査で問題がなければ、建設住宅性能評価書が交付されます。住宅性能評価書の取得を工務店に依頼している場合は、評価書がハウスメーカーに届き、説明を受けた後に受領する流れとなります。
評価書の受領をもって、住宅性能評価の一連の手続きは完了です。
住宅性能評価制度は、住宅の品質を客観的に評価し、住まいの性能を見える化することで、建築主や購入者に安心をもたらす制度です。耐震性や耐久性など、重要な性能が等級や数値で示されるため、住宅の安全性や快適性を具体的に把握できる点が大きなメリットといえます。
新築住宅と中古住宅では評価項目に違いがありますが、いずれも高い基準をクリアした住宅であれば安心して選びやすいでしょう。また、住宅性能評価を取得することで、住宅ローンや税制面での優遇措置を受けられる可能性もあり、将来的なメリットも期待できます。
明和住宅では、住宅性能評価制度における「耐震性・劣化の軽減・維持管理のしやすさ・温熱環境」の4つの分野で、高い評価を得ています。安心して長く快適に暮らせる住まいをお探しの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
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